第1回 ジェントル・ティーチング公開ワークショップ

1995年11月23〜24日 富田林市 すばるホール



主催者挨拶 (岩崎正子/日本ジェントル・ティーチング研究会代表)

 皆さん、おはようございます。昨日はお天気が良かったんですが、本日は雨の中、遠方より参加していただきましてありがとうございます。今回のようなジェントル・ティーチングの公開ワークショップは日本では初めての試みです。コンパニオンシップの確立、温かな人間関係の確立がジェントル・ティーチングの基礎になるのですが、マクギー先生によりますと、コンパニオンシップという言葉の“com”はラテン語で「一緒に」という意味で、“pan”というのは文字通り「パン」の意味で、「パンを一緒に食べる」ということだそうです。ここにいらっしゃるすべての皆さんが、温かい人間関係をお互いに確立して帰っていただきたいと思いますので、午後は小グループに分かれてコンパニオンシップの練習を経験していただきたいと思います。この機会に皆さんが仲良くなってお帰りなられますよう期待しております。  ジョン・マクギー先生については、お手元の資料にご紹介してありますので改めて申しませんが、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパの様々な所で、ジェントル・ティーチングは人々の生活の中に、障害あるなしに拘わらず、いろいろな人の生活の中に浸透してきています。実際のところは、午前中の基本的な話から学んでいただきたいと思います。それでは、ジョン先生にお願い致します。


ジェントル・ティーチングの基本理論 (John McGeeGentle Teaching International代表)

マクギー:おはようございます。今日はこの場に招待していただきましてありがとうございます。皆様とこうして一緒にいられるということはとても光栄です。岩崎先生をはじめ、桃花塾の皆様方のご親切に対し感謝を述べたいと思います。私は皆様とは違った文化から来ております。ですから、ここに皆様と一緒にいることをうれしく思います。今日はジェントル・ティーチングについて、皆様と一緒に考えていきたいと思います。今日、外はとてもきれいですね。というのは、私も郊外の方に住んでいるもので…。「雨」というのは、生命の象徴です。「秋」というのは、春の到来の象徴でもあります。今日、この雨の日において、皆様と一緒に深い人生の意味というものを考えてみたいと思います。ビデオとプロジェクターを使って、実際的な面からジェントル・ティーチングというものを考えていきたいと思います。質問とか意見がございましたら、いつでも結構ですから、ぜひ躊躇せずに述べてください。一緒に考えて、一緒に学んでいくのが、一番よい学習法だと思います。

◆相互変容を目的とした非暴力による援助法◆

ではまず、ジェントル・ティーチングの最初の理念について一緒に考えてみましょう。私たち人間というものは、親切で、そして善い存在です。他者を助けたいと思っています。ジェントル・ティーチングは、知的障害をもつ人たちだけのものではありません。私たちみんなのものなのです。私たちがもっと優しく、もっと親切になり、そうあるべき人間になるということです。私たちは、暴力をふるう人々にしばしば対面することがあります。叩いたり、引っ掻いたり、叫んだり、蹴ったり、唾を吐きかけたりする人々に対して、どのように対応していくかを考えるのはとても難しいことです。ただ一つできることは、私は暴力を使わないということです。他人の問題、人生について考えるのは、とても神秘的なことです。配偶者など家族の場合でも、解決法を見出すのが難しい時があります。ジェントル・ティーチングとは、できる限り暴力を用いない方法をめざしていくことです。この点が一番大切なことです。ジェントル・ティーチングのねらいは、相互の変容です。他者よりも自分に変化が必要な時もあります。そのような場合、私たちが自分自身に変容をもたらすことができて初めて他者に変化が生じるでしょう。ですから、ジェントル・ティーチングは、他者を変えるということではないのです。もし、あなたがお母さんでしたら、子どもにとってより良いお母さんになるということです。もし年老いた母をもつ息子さんでしたら、より良い息子としての役割を演ずるということです。ジェントル・ティーチングは、私たちみんなのためのものです。そして、まず大切なのは相互の変容です。ここにいる皆様方は、いい人たちだと思います。私はそうではないかもわかりませんが、皆様はきっとそうでしょう。(笑)しかし、ほんの些細な行為が、時に他者を傷つけたり、怯えさせたりすることがあります。私の文化では、相手の人を抱きしめるということが愛情を示す上でとても大切なことです。しかし昨日、私は知的障害をもつ若い日本の男性に会って抱きしめたら、彼はとても怯えてしまいました。相手が何を感じているかについて私たちはもっと敏感になる必要があります。いいことをしていると私たちが思っていても、障害をもつ人々の恐怖を喚起することがあります。例えば、視覚障害をもつ人たちは、触られることを恐れます。何かされるのではないかと恐れを抱くのです。虐待されている子どもたちも、他者から触られることに恐れを感じます。このように、相手の人が恐れを抱くようなことを敏感に察知して、そういう行動を避けるようにしなければならないのです。私たちはできる限りの努力をして、より人間らしくふるまっていかなければなりません。援助者として、援助をする相手の人に対して、できる限り深い愛情を注ぐことが大切です。ジェントル・ティーチングで一番大切な言葉は「温かさ」だと思います。人間としての温かさを表現するということです。今からポールという男性のビデオを見ていただきたいと思います。

◆人は心と身体と精神からできている◆

《VTR》ポールは23年間、裸で過ごしています。ポールの部屋にはまったく家具がありません。彼はとても暴力的です。スタッフは彼のことをとても恐れています。彼もスタッフのことを恐れています。彼はとても暴力的で、2回大きな事件を起こしています。ここで皆様にわかっていただきたいのは、二つの基本的な前提です(OHP2)。まず初めの前提は、私たちが援助しているすべての人が、心と身体と精神からできているということです。私は昨日、とてもきれいなお寺に行きました。仏様がその寺に座っていました。仏様は癒してくれる人、癒しの象徴です。ポールのような人を前にして、釈迦もしくはキリストは何をするでしょうか。私たちの義務は、まず相手の人に対して何ができるかを考えることです。そして私たちは彼の援助者として一緒に行動しなければなりません。ポールのスタッフは私たちに、彼がどれだけ難しい人で、スタッフがどれだけ彼のことを恐れているかを教えています。そして、私も同じようにとても恐れています。これはポールの部屋です。ドアには鍵がかけられています。23年間、外に出ていません。お風呂にも入りません。衣類を全く身に纏っていません。まず最初の前提がとても大切です。ポールが私たちに攻撃をしかけてきます。私たちは考えなければなりません。彼にも心と身体と精神があるということをです。ビデオをもう少し見てください。彼が本当に人間である、ということを感じとれるでしょうか。

◆すべての人は他者との一体感を求めている◆

《VTR》触ろうとすると、彼はその手につかみかかります。「怖がらなくてもいいんだよ」と私は彼に伝えています。「私は君を傷つけたりしないよ」「私は君の友達だよ」と語りかけています。「君はいい人なんだ」と伝えています。彼の歯はボロボロです。顔を壁に打ちつけるからです。目は虚ろで、腕は傷だらけです。触ると…、彼はとても怯えています。わかりますでしょうか。彼はとても難しい人です。とても暴力的です。ここで一つ気をつけなければいけないことがあります。それは、私が彼に対してとても優しく接しているということです。彼が私に優しくなくてもです。ポールのような人を援助するには、二つの前提を考える必要があります。まず最初の前提は、先程述べましたように、彼にも心と身体と精神があるということです。二つめの前提は一つめよりも大切かも知れません。それは、ポールの心のなかには、そして、あなたの心のなかには、私の心のなかにも、すべての人の心のなかには、他の人と一体になりたいという願いがあるということです。人が結婚し、子を生すのはこのような願いがあるからです。私たちが今日こうして集まっているのは、私たちが援助者であり、そのような願いをもっているからです。すべての人が、他の人と一緒になりたい、一体感を得たいという願いをもっています。ポールのように暴力的で、身体も傷だらけで、引っ掻いたり、叩いたり、唾を吐きかけたりする人でさえも、私たちや他の人たちと一緒になりたいという気持ちを強くもっています。ジェントル・ティーチングは、頭の問題でなく、心の問題なのです。父親あるいは母親であるということは、心の中のことなのです。頭ではありません。子どもの大切さを、どのように感じるかということです。子どもが私たちと共にいることに安心を感じて、私たちと一緒にいると楽しいと思い、私たちによって価値付与されていると感じる。そして、私たちに向かって手を差し伸べてくるということなのです。私は皆様とは違った文化から来ていますが、いかなる文化においても、これは基本的な前提です。私たちは会社で働くために生まれたのではありません。あなたも、そして私も、こうして一体感を得るために生まれたのです。ですから、援助する際に大切なのは、援助する相手の人に、皆様それぞれのポールに、どのようにして交わりの気持ちを伝えていくかということなのです(OHP3)。先程、ジェントル・ティーチングにおいて一番大切なのは、一体感をもつことだと言いました。ではこれから、どのようにして皆様のポールに対して交わりの気持ちを伝えるかをお話ししたいと思います。これは知的障害をもつ人たちだけにいえることではありません。例えば、私の母はもう88歳です。そして、とても重い病気に罹っています。ジェントル・ティーチングは、私が母に対してどのように接するかということにも関連しています。例えば、問題を抱えている子どものお母さん、もしくはお父さんも、この方法で子どもに対応してみてください。ここにいる皆様の大半が、知的障害をもつ人と一緒に働いていらっしゃるということで、私はできるだけ焦点をしぼって話をしていますけれど、ジェントル・ティーチングがそれだけではなく、いろいろな人々に対して当てはまるということを忘れないでください。

◆安心と安全の感情を伝える方法◆

交わりの感情というのは、四つの柱をもつ家のようなものです。まず一番最初の柱は、ポールに、私たちと一緒にいても安全だよと知らせることです。私たちと一緒にいて安全だということを知らせる方法は三つあります。しばらくビデオを見てください。そして、その三つの方法を一緒に考えていきたいと思います。この三つの道具を使うことで、私はポールに「私といると安全だよ」ということを教えています。《VTR》私が使用している三つの道具のなかの一つは、何でしょうか。何だと思われますか…。手ですね。では、私は手を使って何をしていますか…。彼を触っています。私は彼をずっと触っています。このように、三つの道具の一つめは手です。交わりの気持ちを伝えるのに、一番大切な道具です。わかりますでしょうか。お母さんは赤ちゃんに、どのように接するでしょうか。赤ちゃんは、生まれた当初はとても怯えています。しかし、お母さんやお父さんが優しく触れることによって安心するのです。この隣の会場では生け花の展示をやっています。とても繊細なお花です。その花びらに触るには、とても優しく触らなければなりません。それと同じようにして私はポールに触っています。このようなタッチは、すべての人に必要ではないかも知れません。しかし、ポールのような人にはとても大切なのです。タッチをする、相手に触るということは、一緒にいると安全だよということを知らせる上で、最も直接的で有効な方法なのです。施設で働いている方には援助をする相手の人がいるわけですが、そのなかでどれくらいの人たちが触られた時に恐れを抱くでしょうか。私たちが何もひどい人だというわけではないのです。しかし、知的障害をもつ人たちというのは、例えば隣の会場の花のような存在なのです。とても壊れやすいのです。ですから、私たちは彼らにタッチというものがどういうものであるのか、私たちが触るのは安全を伝えるためなんだということを知らせなくてはなりません。私たちには三つの道具があると言いました。最初の道具は手でした。他の人にどんどんタッチしてみてください。皆様は、日本ではあまり他の人にタッチしないものだとおっしゃるかも知れません。しかし、仏典には、まず第一に大切なのは触ることだと書かれてあります。私たちは赤ちゃんのことを触ります。ポールが赤ちゃんと同じだと言っているわけではありません。しかし今の段階においては、彼は赤ちゃんと同じように壊れやすい、そしてデリケートな存在なのです。援助者の主要な目的とは、相手に対して交わりの感情を教えることです。そして、その目的のためには、まず、私と一緒にいても安全なんだということを教える必要があるのです。三つの道具があると言いました。最初の道具は手でした。月曜日の午後、私は岩崎先生とミレナー先生と、とても素晴らしい体験をしました。私たちは老人ホームを訪問しました。知的障害をもつ人たちの施設ではありません。そして、養護施設も訪問しました。やはり知的障害をもつ子どもたちの施設ではありません。老人ホームでも、養護施設でも、人々は横並びに座っていて、隣の人とのつながりはあまりありません。隣の人と結びついていません。彼らの顔を触るとします。そうすると最初は恐れの感情をみせます。もっと触り続けますと、その恐れが今度は笑顔に変わっていきます。私たちと一緒にいて、安心感を得たいという願いがあるのです。ビデオを見ていただきます。そして、三つの道具の二つめが何であるか、考えてみてください。《VTR》私が使っている他の道具は何だと思いますか。誰か勇気を出して。この資料にも書かれていますよ。2行目と3行目です。(笑)私は日本語がわからないんですけれど、そこに書いてあるのは知っています。もう答えを教えてあげたのですから、ぜひ言ってみてください。二つめと三つめの道具は何でしょうか。そう、言葉ですね。そして、顔全体、特に目です。私はポールをただ漫然と見ているわけではありません。私は彼の心をみているのです。彼に交わりの感情を教えたいのであれば、たとえ拒否されたとしても、私自身が彼と交わりたいという気持ちを強くもつことが大切です。わかっていただけますでしょうか。子どものいる方は、今日家に戻られましたら、子どものことを見つめてみてください。子ども顔を触ってみてください。勇気があれば、配偶者にも是非そうしてみてください。たぶん、ポールのようにひどい応対はしないと思います。(笑)手、そして顔、特に目です。そして口、つまり言葉です。ポールは英語を喋りません。英語圏の人ではありません。しかし私は英語で語りかけています。私の話している言葉を彼は理解できていないに、私はなぜこうして語りかけているのでしょうか。私は時間を浪費しているのでしょうか。お母さんは赤ちゃんに語りかけますね。(参加者に向かって)子どもさん、いらっしゃいますでしょうか。どうして赤ちゃんに語りかけるのでしょうか。「赤ちゃんが好きだから」(参加者)そう、赤ちゃんを愛しているから…、答えは非常に単純ですね。でも、赤ちゃんは最初、お母さんが自分のことを愛していると知りません。赤ちゃんは最初のうち言語を理解できません。でも私たちは語り続けます。例えば、「日本語」を英語では「Japanese」と言いますが、赤ちゃんに語りかける言葉や表現を英語では「Motherese」と言います。どのように触るか、どのように語りかけるか、このどのようにというのが重要です。例えば、政治家がやって来て、皆さんと握手をしたとします。しかし、それは何も意味しません。そうですね。日本の政治家はいい人たちかも知れませんが、アメリカの政治家たちはそうではありません。(笑)どのようにして触るか、どのようにして語りかけるか、そしてどのようにして見つめるか…、今からビデオを見ていただきます。紙とペンを用意してください。そして、私がどのようにしてポールに語りかけ、ポールを見つめ、そしてポールに触っているかを書き出してください。それがジェントル・ティーチングの一番大切なポイントなんです。


オランダにおけるジェントル・ティーチングの推進状況(Anthony A.J. Millenaar/ハルテカンプ施設長)

こんにちは。ご紹介いただきましたように、私はオランダから参りました。アムステルダム近郊のデ・ハルテカンプで施設長をしております。私たちの施設ではいろいろな種類のサービスを行っています。入所施設、グループ・ホーム、デイ・ケア、レスパイト・ホーム、障害者の親への直接サポートなどで、行動障害をもつ人々も数多くサービスを利用しています。  2年前、マクギー先生がオランダに来られた時に初めてお会いしました。私はジェントル・ティーチングがもつ可能性に非常に感銘を受けました。そして、私たちの施設にいる人たちに対しても、有効な手段であることに気づきました。なかでも一番印象的だったのは、今朝マクギー先生がおっしゃったように、私たちがまず変わらなくてはならないということです。相手を先に変えようとしても変わらないということです。私たちは問題となる行動ばかりに焦点を当てていました。しかし、マクギー先生からまず私たちが変化を遂げること、そしてそのことが相手にも変化をもたらすことを学びとりました。

◆孤立している人に対するアプローチ◆

まず最初に、私がおります施設でのいろいろな体験を話したいと思います。入所者のなかにとても孤独な人がいます。若い男性の例ですが、他の人々と接触することを拒みます。いつも独りでいたがるんですね。気分を害すると自分を叩いたりもするので、彼が独りでいることを選んでいるのならと私たちはそれを受け容れていました。しかし、マクギー先生からいろいろな考えを学ぶことにより、「分かち合う」ことの大切さを深く感じました。そして、私たちがどのようにしたら一緒に過ごせるか、彼をどのようにして仲間の輪の中に加えていくか、その方法を学びました。では、そのビデオを見ていただきます。《VTR》これは彼の居室です。触られるのを嫌がっていますね。独りになろうとしています。そこで、マクギー先生はどのようにして接触を受け容れたらよいかを彼に教えています。接触を受け容れようかどうか、彼は自分自身と闘っています。「握手をしようよ、手を伸ばしてごらん」とマクギー先生は語りかけ続けます。私たちが学んだ大切なことの一つは、決して諦めないことです。このグリーンの服を着ている人はここの施設のスタッフで、彼の援助をしています。これからちょっと、重要なことが起こります。実は、このリビングルームの方に自分の意志で出てきたというのはこれが初めてなんです。ですから、援助者たちにとっても非常に重要な意味合いをもつ一瞬でした。再び、部屋に戻ります。でもずっと接触を続けています。これはジェントル・ティーチングのとても良い例だと思います。まず安全であるということ、彼が自分の安全を感じることが大事なんですね。それで初めて自分から他者に働きかけていくことができるわけです。「一緒に(何かを)しているんだよ」ということをずっと語りかけています。一緒に何かをするということがとても大切なんですね。自分の意志で居室から出てきています。一緒にいることの良さを教えています。先程、接触を拒んでいた時との違いを見ていただけると思います。これは安全な雰囲気をつくることがどのような意味合いをもつのか、という良い例だと思います。これから、どのようにして一体感を生み出していくかを学んでいくわけです。では、もう一つの例を見ていただきたいと思います。

◆自立することよりもまず一緒にすることが大切である◆

これも私たちのグループホームの1つなんですが、ここにいる人々は自分たちで勝手にいろいろなことをするのに慣れています。ジェントル・ティーチングを通して、個々人が勝手にいろいろなことをするのではなくて、一緒に何かをやっていくということを学んでいきました。《VTR》マクギー先生と一緒に2人の同居者がディナーの準備をしています。これまでは、それぞれが自分の役割をもっていて、お互いの接触がなかったのです。このように分かち合っていくこと、一緒にすることは簡単なようですが、ここに住む人たちにとっては難しいのです。表面的に見えるかも知れません。しかし、この方法によって、彼らは分かち合うこと、そしてどのようにして共同で作業をするかということを学んでいけます。この学んでいくプロセスは、今もずっと続いています。《VTR》これはまた別の子どもです。彼は12歳ですが、自分の世界に引きこもっています。自分一人で何でもやってしまうんですね。そして、自分の車椅子に座ることによって、安全を感じるんですね。少しまだ不確かなものを感じているようですね。

◆本当の意味の交わりとは◆

《VTR》体育館でゲームをしています。このゲームをご存じでしょうか。1つの円に1人ずつ立ち、場所を替わっていくわけですね。ここに入所している人は、ふだん乱暴な行動が見受けられます。特にあの背の高い男性なんですが…。どのようにして自分の力を使ったらよいか分からないのです。マクギー先生が彼らに分かち合うこと、そして交わりの気持ちをもつことを教えています。先程の男性です。暴力的ですね。自分の力をうまく使うことを学ぶことが大事です。1人の青年が集団から離れて隅のベンチに座ってしまいました。となりの男性に傷つけられたみたいですね。こうなると交わりの気持ちがだんだんと萎んでいってしまうわけですね。だから危険な状態なんです。傷つけた方の男性は、いかにして他者に優しく接することができるかを学んでいかなければなりません。スタッフが横に座っていますけれども、彼(傷つけられた人)は何となく安心できないんですね。価値を与え、そして価値を返してもらうということを援助者と一緒にやっています。時々こうして彼のそばにいて、安心感を与えるようにするんですね。本当の意味の交わりというのは、全員で交わっていくということなんです。でも決して無理強いしてはいけません。握手したりして、お互いに相手が好きになるということが大切です。もうお分かりだと思いますが、このビデオに映っている髪の毛を括っている女性たちは援助者なんですね。援助者がどのようにふるまえばよいか、特に相手が大きな力をもった人たちの場合ですけれども、どういうふうにふるまっていけばよいかをマクギー先生が細かく指導しています。「時々顔に触れなさい」ですとか。援助者の動き、ふるまい方という点ですごく勉強になると思います。《VTR》ゲームをやりながら一緒に歌を歌っています。友達になるのはとても簡単なことのように見えます。しかし、安心を感じるのは難しいことです。いかにして心の安泰をもたらしていくかということですね。先程の青年はまだまだ不安なようです。このビデオを見ていただいてお分かりのように、交わりの気持ちを築いていくということはとても時間がかかることですね。あと5分くらいすると、この青年はまた輪の中に戻ってくるんです。そこから交わりの気持ちというものが生まれてくる。少しずつですけれども交わりが確立されてくるのです。

第1回のジェントル・ティーチング公開ワークショップは、初めての試みであるにもかかわらず全国各地より定員を上回る参加者が集まり、和やかな雰囲気の中、活発かつ有意義な議論が交わされました。また、午後からのキッチンテーブル・アセスメントで、講師の先生を囲んで参加者同士が和気藹々と語り合う様子はまさにコンパニオンシップ、交わりの感情を具現していたと思います。当研究会では、このようなワークショップを今後も継続して開催し、相互依存と非暴力を礎とするコミュニティの拡大に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えています。最後になりましたが、2日間にわたりご指導、ご教示をいただきましたマクギー先生とミレナー先生に、この場を借りまして改めて謝意を表します。また、ご参加いただきました皆様に心よりお礼を申し上げます。

なお、ここでは2日間にわたるワークショップの一部を紹介しました。全内容については日本ジェントル・ティーチング研究会発行の報告書にまとめられていますので、ご希望の方は下記事務局までお問い合わせください。

日本ジェントル・ティーチング研究会事務局
〒584−0008 大阪府富田林市喜志2067番地 桃花塾内
TEL 0721−23−2076/FAX 0721−24−2990

jsgt@m3.kcn.ne.jp

Go BackGo Home